2011年6月28日火曜日

第3回マンスリーダンスセッション


毎月の催しですが、一ヶ月というのは、けっこうあっという間に来てしまう物です。ご案内遅れて申し訳ありません。
これから、できれば、毎月ゲストをお呼びして、由良部と白石の世界に新鮮な風を招き入れたいと思っています。
今回、最初のゲストに尺八の福本卓道さんにお願いしました。
卓道さんとは、実は30年以上前、私がある舞踏グループで、踊りを始めたばかりからの知り合いで、長く私の踊りを見守ってくれていました。
卓道さんは、ご自身の音世界を「心音一如」と称し、様々な音楽活動の他、私を含め、様々なソロの踊り手とのコラボレーションを多くしています。
多分、卓道さんは、踊りよりも、からだそのものに感心があるのだと思います。尺八の一音が時に広大な広がりを感じさせるように、からだそのものが絶景の自然であると感じているのだと思います。
私も自分の踊りの道として、「呼吸体」・「虚の身体」という事を言ってきました。それは私達のからだが様々な社会的条件付け、比較を超えて、以下に広大なものと関係しているのかを実感し、示したいと思ってきたからでした。そういう意味で、長年歩んできた私と卓道さんの思いは、同じなのではと思っています。
卓道さんの尺八、白石さんのDJ、私の踊り、そして参加・鑑賞される方で、またまたどんな、新しいリーラの場が生まれるのか楽しみです。

福本卓道さんのホームページhttp://www.d1.dion.ne.jp/~takudoo/

2011年5月24日火曜日

第2回 マンスリーダンスセッション



初回のマンスリーダンスセッションのリーラ、スペースとしては丁度いい20名ほどの方の参加で、様々な一度限りの、接触、衝突、発見、出会い、すれ違い、調和等が見られ、実り多い2時間であったと思います。
初めての試みなので、全体の進行等で、考えなければならない事もありました。ちょっと私自身が踊りすぎたように思い、次回からもっと全体の流れに気配りできたらと思っています。
え〜と、少し私なりの踊りついての思いのようなものを今回は書きたいと思います。
少し我慢して読んでいただければ、幸いです。
例えば、電車などに乗って、人々の顔を見ると、「あー、皆生気のない顔をしているなー」とどうしても思ってしまいます。
電車という空間のせいもあるのでしょうが、みな、とても孤立しているように感じます。
以前、亡くなられた河合隼雄さんが、よく言っていた事に、なぜ、森で暮らすインディオの人々はあんなににも顔が輝いているのか、
それは、例えば、毎日太陽が、無事に昇り、落ちてこないように祈っているからだ、祈る事で、太陽の運行を助け、それと繋がっているという実感があるからだと言っていました。
勿論、私達に、その様な祈りはできません。
祈らなくても、太陽は無事昇り、沈む事を知っているからです。より、分析的にいうと、私達の内面に生まれるイメージ等とは独立した自然の法則がある事を知っているからです。
この、私達の内面とは独立した法則があるという発見、これは、私には、とてつもない事のように思います。
これが、近現代文明の基礎だと思います。純粋に観察者、分析者、測定するもの、コントロールするものとして、私達は自然に対し、人体の知識から、膨張宇宙、核のエネルギー、原発の開発まで、ありとあらゆるところにその知識を広げていきました。
私は、反文明主義者ではありません。どころか、これば、人間にとってとても大きなある種ジャンプであったと思います。
しかし、こう問うのは重要です。「自然を、私達が私達の内面とは独立した自然として見る事は、それ自体限界を含んでいるのではないか、全体として理解する事、見ることを分断し、断片化と、混乱、葛藤、孤立の源ではないのか」と
もし、そうなら、次の真剣な問いが生まれます。「もう一度、私達の内面と、自然とを結びつけるには、どうすればいいのか、単純に、イメージと自然を結びつけるのではない、まったく違うアプローチがあるのではないか」と。
この問い。これは、現代に生きる私達全体にとって、とても真剣な問いだと思います。それは、抽象的な答えで、満足できるものではなく、その問いを文字どうり生きなくてはならない問いだと思います。
さて、私にとって、踊りは、この問いを生きる事の中の一つとしてあります。
踊りは、からだという自然を素材としながら、同時に内からその自然を観るものでもあります。様々な感覚や運動の他に、瞬間、瞬間に、生成・消滅・創造されるイメージの流れがあります。
あらかじめ、頭で考えたイメージではなく、生きたイメージです。真の踊り手は、どんな仔細な動きにも、この生きたイメージを同時に感じ観ています。そして、この内から生まれる生きたイメージを見ている眼と観客の眼が重なっているという実感をもつと、踊る喜びを感じられます。
踊り手のからだは、0.1秒の早さを競うアスリートのからだを求めているのではなく、からだという自然を内から観、そこに生成・消滅・創造されるイメージを空間に開放する事を願っています。
自然ともう一度繋がり、もはや、私が踊っているのではなく、周りの空気や光、様々な森羅万象が踊っている、そんな踊りを願っています。
マンスリーダンスセッションの場をリーラ(神々の遊戯)と名づけたのもその様な、気持ちからでした。
その名に値する踊り、場に少しでも、近づければと思っています。


マンスリーダンスセッション
-みる・きく・おどる どんな参加も自由な毎月第一土曜日のリーラ-
第2回 6月4日
時間 午後4時〜6時
料金 予約1500円 当日2000円
場所 スペースALS-D 京都市北区紫野南舟岡町38-23
予約 yurayura5@nike.eonet.ne.jp  090-5155-3543 由良部

2011年4月26日火曜日

マンスリーダンスセッション



東日本大震災から40日あまり、途方もないエネルギーの地震、津波、今尚、収まらぬ原発事故。こちら関西は、ほとんど揺れを感じませんでしたが、なにか、私達の生き方そのものが揺すぶられているようにも感じます。


さて、その様な折ですが、5月から毎第一土曜日にスペースALS-Dにてダンスセッションを始めます。
2008年からスペースをオープンして、私自身は日々の稽古の場として使用してきましたが、いわゆる、舞台活動からは、少し離れていました。
しかし、私自身のからだも、このスペースもより開いていきたいと思い始めています。
このダンスセッションは、踊りを見るのも、音楽を聴くのも、自分自身が踊るのもどんな参加も自由な場です。
その中で30分程の即興ソロダンスタイムを私が、音の構成をDJの草分け的存在で、ALS-Dにてヘルパーで働いている白石哲氏がいたします。
この場を私達は、リーラと名づけました。リーラというのは、「神々の遊戯」という意味ですが、なにか、真剣さを伴なう遊びの場をイメージしています。
私達自身や他者、音、空間、身体とまったく新しく出会っていくような、そんな場であればと願っています。
こう言うと、少し敷居が高く感じられるかもしれませんが、気軽で、身の軽い場を作っていくつもりです。
これから、毎月いたしますので、時間の会うときにでもきて頂ければ幸いです。

由良部正美




マンスリーダンスセッション


みる・きく・おどる どんな参加も自由な毎月第一土曜日のリーラ
第1回 5月7日
時間 午後4時〜6時
料金 予約1500円 当日2000円
場所 スペースALS-D 京都市北区紫野南舟岡町38-23
予約 yurayura5@nike.eonet.ne.jp  090-5155-3543 由良部


DJ
白石哲
80年代後半から原宿モンクベリーズ、CLUBD、第三倉庫等でDJ をする傍ら初期の東京コレクションや原宿コレクション等数々のファッションショーの選曲を手掛け関西に拠点を移してからもDJをする傍らハコのプロデュースやレーベルを手掛けた。そして由良部氏との出会い、甲谷さんとの生活、ALSーDでの舞踏家、演出家の方々からの日々の刺激と共に由良部氏のちょっとした提案から自分も原点にかえってみて楽しく広がりちょっとした味付けになれればと此処ALSーDでの面白い試み!!今回音の直感を楽しみながら皆さんで実験しましょう  それは前衛的であり伝統的でもあり パーカッシブなアフロやJazzが人の揺さぶりであり 能やヨガは張り詰めた指先まで静寂にさせてくれるように 音の流れの中で自由な 動きをしてみましょう。予期せぬ動きがあるように 予期せぬ音やリズムが展開していく中で息づくカラダはきっと楽しく いつもとは違った時間が味わえると思います。






ソロダンスタイム
由良部正美
1982年、舞踏グループ東方夜総会を退会後、ソロダンサー、振付け・演出家として活動を始める。たくさんのダンス作品、コラボレーション作品を発表。2000年ヨーロッパ最大といわれるリヨン・ビエンナーレ・ダンスフェスティバルのオープニングに招待されたのはじめ、メルボルン・ダンスフェスティバル(2002年)、韓国のテジュンとテグでのダンスフェスティバル(2005年)、ポルトガルのSUL-Xダンスフェスティバル(2006年)等海外での招待公演も数多い。又、又舞踏の黎明期を築いてきた笠井叡氏、大野慶人氏を2005年、2006年と招き、ワークショップ・トークセッション・パフォーマンスが一体となった「身体の裏側㈵」「身体の裏側㈼」を企画。古典の新芽シリーズでの文楽・義太夫との共演等その活動は幅広い。又長年舞踏クラスやワークショップを行いながら、他の身体技法や身体観との相対化の中で、新たな舞踏の血脈を辿っている。2008年7月から、京都の西陣にてスペースALS−Dを始動、新たな展開を迎えている。

スペースALS-D
スペースALS-Dは、神経難病ALS(筋萎縮性即索硬化症)患者の甲谷匡賛氏の住居に併設されたスペースです。長年病院を転々とせざるえない生活からエクソダス。たくさんの友人、知人がヘルパーになり、24時間体制で、独居生活を実現。とかく閉じてしまいがちの難病生活を地域へ、表現へと開放する。スペースは京都工芸繊維大学の阪田研の学生、OB・ボランティアによって、全面改築され、グッドデザイン賞を受賞する。